事業再生ADRとは

こんにちは。田中です。

最新の私的整理の手法として、「事業再生ADR」が注目されています。

事業再生ADRとは、多額の債務を抱えた企業や経営不振に陥った企業の事業再生手法の一つです。

ADRとは「裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)」の略称で、訴訟や法的倒産手続のように、裁判所による強制力を持った紛争解決の手続を利用することなく、当事者間の話し合いをベースとして、紛争を解決しようとする手続の総称です。

今年4月にコスモスイニシア(旧リクルートコスモス)が実際に事業再生ADRの利用手続を申請し、第一号事案として受理されました。
その後、日本エスコン、日本アジア投資、ラディアHD(旧グッドウィルグループ)が同手続きを利用し私的整理を進めています。

従来、私的整理としては、「私的整理ガイドライン」が準拠、「中小企業再生支援協議会」等が準公的なものとしてありました。

しかし、私的整理ガイドラインは要件が厳しく使いづらい点もあり、また、中小企業再生支援協議会は文字通り中小企業向けの制度です。
このような手続きを利用せず完全に任意の私的整理もあり得ますが、大企業では債権者が多過ぎて現実的ではありません。
そういう意味では、事業再生ADRは大企業にとって使いやすい手続きと言えます。

事業再生ADRには、概略以下のメリットがあります。

① 再生プロセスに入った後に、つなぎ資金を調達する場合、それ以前の古い債務とは別に優先的な取扱いを受けることが可能であること、また公的保証の対象とする制度も用意されていることから支援を得やすい。

② メインバンク主導で行うプロセスではなく、事業再生の専門家による中立的な立場で再生スキームを描くため、メインバンク以外の金融機関も交渉に応じやすい。

③ 金融機関を相手として折衝するため民事再生や破産法に基づく手続きのように、一般債権者(取引先等)を巻き込む必要はなく事業価値の毀損を防ぐことができる。

④ 債務免除を受ける場合、「期限切れ繰越欠損金の活用」と「資産の評価損益の計上」など税制上の優遇措置を利用して税負担を軽減できる。

このように事業再生ADRの特性を踏まえ、今後も利用する企業が増えてくるものと思われます。

私としては、これを機に私的整理による再生スキーム、例えば私的整理ガイドラインの適用等による企業再生に対して、金融機関が理解を示してくれることで多くの中小・ベンチャー企業が再生することを期待しています。


ロングリーチコンサルティング株式会社
田中伸治

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