今朝の日経新聞の記事で「中小企業金融円滑化法」の利用状況について書かれていました。
この記事によれば、今年2月末時点に申込件数は5万5164件(2兆3669億円)で、このうち条件変更に応じた件数は2万4438件(1兆2881億円)、2月に入って申込みのペースは落ち着いてきたが、年度末を控え相談件数は増加しているようです。
私も資金調達や資金繰りに苦しむ会社から、リスケジュールについての相談をよく受けます。
そこで、今日はこの「中小企業金融円滑化法」、いわゆる「モラトリアム法」ついて簡単にお話したいと思います。
同法のポイントを以下に纏めてみました。
「中小企業金融円滑化法」とは?
【成立の背景】
サブプライム問題に端を発した世界的な金融市場の混乱が日本経済にも波及して、日本企業(特に中小企業)の業績は急速に低迷し、日々の資金繰りに深刻な影響を与えています。
こうしたなか、政府は中小企業の資金繰り支援策として、2009年11月30日に「中小企業金融円滑化法」を成立させました。
そして、2011年3月までの時限立法として、2009年12月4日より同法が施行されています。
当初の構想では「強制的に借金返済を猶予する」という驚いた内容でしたが、最終的には、企業からの貸し付け条件変更の申し出に対して、金融機関が可能な限り応じるように要請する「努力規定」に近い形で落ち着きました。
【目的】
中小企業金融円滑化法の目的は、中小企業に返済猶予を与え一時的に難局をしのいでもらうことではなく、与えられた猶予期間のなかで、しっかりと経営改善を実施して、その結果、中長期な観点から資金繰りの安定化を実現してもらうことです。
【法律の概況】
中小企業金融円滑化法の内容は次の5つに分類することができます。
□金融機関の努力義務
金融機関は、中小企業または住宅ローンの借り手から申込みがあった場合には、できる限り、貸付条件の変更など、債務の返済負担の軽減措置をとる。
□金融機関自らの取組み
金融機関に責務遂行のための必要な体制の整備を義務付ける。また、貸付条件の変更等の実施状況及び本法律の整備した体制等を開示するよう義務付ける。
□行政の対応
金融機関に貸付条件の変更等の実施状況を当局に報告するよう義務付ける。
□信用補完事業の充実のための措置
政府は金融機関の信用供与の円滑化を図るため、信用保証協会が行う中小企業者に関する信用補完事業の充実に係る財政上の措置を講じる。
□施行期間
2011年3月までの時限措置とする。
【利用のメリット】
中小企業金融円滑化法を活用メリットは3つあります。
□元本返済や、返済期間の延長等の借入条件の変更
金融機関から借入している中小企業と個人が、返済猶予・金利減免、返済期間の延長など借入条件を変更したい場合に申請すると、金融機関は返済猶予や返済期間の延長に応じる努力義務が課されている。
□金融機関による経営支援コンサルティングを受けられる
中小企業の経営改善を支援するように金融機関に努力義務は課されている。
□借入条件の変更を行っても不良債権とされないため、新規融資の可能性がある
これまでは返済条件を変更すると、金融機関内での格付けがランクダウンし、実質的に新規融資が受けられなくなっていました。
しかし、金融検査マニュアルが中小企業金融円滑化法と共に改定され、「条件変更を行っても不良債権としない」ことになり、リスケ中であっても新規融資を受けられるようになりました。
以上が「中小企業金融円滑化法」(モラトリアム法)の概要です。
少し長くなってしまいましたが、ご理解いただけましたか?
一見、弱者救済のようにも見える本法律ですが、理解を深め全体像を把握すると「金融機関の取組み状況の開示」や「行政の対応」以外は、金融検査マニュアル別冊の改定とあまり変わらない・・・、と感じたのではないでしょうか。
実際に、金融機関の対応を見てみると、本法律成立前のリスケジュール要請と何ら変化はない、というのが私見です。
とはいえ、金融機関には「努力義務」が課せられているので、企業や個人からリスケの申し出があった場合にはさすがに無視はできません。
「中小企業金融円滑化法」の成立によって、リスケジュールの相談がしやすい環境になっているのは事実です。
当社でもリスケジュールの相談、銀行交渉、経営改善計画書の作成支援を行っていますので、借入返済や資金繰りに不安を感じている企業様はお気軽にご相談下さい。
田中伸治
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